選択的夫婦別姓制度が導入されたら
自民党総裁選挙で選択的夫婦別姓の是非が一つの争点となっています。
改正を希望する意見は、「不便である」、「多様性を認めるべき」、「世界で認めないのは日本だけ」など。「妻の姓にする男性はほとんどなく、社会も女性が姓を変えることを当然と考えており、公平ではない」といった理由もあります。「仕事に支障をきたした」、「個人を尊重すべき」、「世界水準に合わせるべき」といった理由もありました。9月4日付けの東京新聞に特集記事が出ていましたが、やや個人的な理由が多いように感じます。
一方反対する方は、「家族の一体感がなくなる」、「夫婦別姓は親子別姓となってしまう」、「戸籍制度の崩壊につながる」、「日本の伝統が失われる」など、感情的、事務的な理由が多いように感じます。戸籍制度の崩壊についてはもう少し具体的、実務的に説明して欲しいです。こちらは日本社会全体として受け入れられないという感じで、説明不足感を強く感じます。
結局少々検索したくらいでは良くわかりませんでした。法律的には民法と戸籍法の改正が必要とのことですがそれだけではないでしょう。相当な範囲で影響が出ますね。長年定着している考え方、制度を変えるのは大変だろうと想像できます。システム改修費が多額に発生しそうです。経済対策としては良いかもしれませんが、私は関わりたくないです。
ちなみに私の息子と甥っ子は2年ほど前に結婚しましたが、相手の姓を名乗ってます。息子は相手の父親の希望(一人娘なので姓を残したい)、甥っ子はバリバリの夫婦別姓論者なので(たぶんしかたなく)だと思います。いずれも妻の強い希望ではないようです。甥っ子は仕事では旧姓を通称使用しており、息子は普通に戸籍上の妻の姓で仕事をしています。二人とも結婚後に海外勤務していますが特に何か問題があったとは聞いてません(言わないだけかもしれませんが)。
姓を変更すると各種手続きが面倒という話はよく聞きます。銀行口座、パスポート、免許証、などなど。離婚して旧姓に戻すときにもまた面倒な手続きが必要です。バツ2の同僚が「ほんと面倒くさかった!」と叫んでいたのを思い出します。職場の文書の決済欄の印影を見ながら、「この印とこの印とこの印は名前が違いますが、全部同じ人です。」と説明されて苦笑した記憶があります。
夫婦別姓が認められると本人は楽になりますが、面倒な部分が行政側や企業側に移転される可能性があります。。住所が同じでも姓が違うので、結婚と事実婚の区別がつきません。例えば、扶養控除申告書の配偶者名が異なっていたら住民票の提出を求める必要が出てきそうです。親子別姓もあり得ます。同居していない親を扶養に入れる場合に親族関係の証明を戸籍でするのでしょうか。「戸籍が必要?、プライバシーの侵害だ-。」と言われそうです。相続では出生から死亡までの戸籍が必要ですが、改製であらたな戸籍が作られるのでしょうか。
夫婦であること、親子であることについて、説明以上の証明が必要になりそうです。
あらたな家族証明書制度ができることを期待します。手間が増える分、報酬が増えることも期待したいです。
最後に、私は制度を変えることによる経済的負担がどれくらいになるのか知りたいです。影響受けるシステムも含めて。行政側にいた人間からすれば、システムバグはマイナンバー制度以上に出ると思われますが、あまり文句を言わないで貰いたいですね。